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室内の植物のCO2吸収値

【植物の唯一無二の力】

植物は大気中のCO2を吸収し、新鮮なO2を創りだす。このことは小学校の理科の時間に教わります。

それでは普段目にする人の背丈ほどの高さ、約160cm程度の観葉植物は、実際にどれくらいの量のCO2を吸収するのでしょうか?

これは当社設立以来のテーマです。室外の緑、例えば杉の木1本のCO2吸収量は年間13kgと林野庁が発表しています。しかし、室内の観葉植物の吸収量の公式データはありません。吸収量を測定する実験自体がほとんど行われていないのです。そこで、私たちは独自の実験を行い、測定を試みました。

 

〇地球温暖化の原因とされるCO2

東京都は2025年度から、オフィスビルなどに義務付けるCO2の排出削減義務率を大幅に引き上げます。制度改正案では、2025年度から始まる新築住宅への太陽光パネル設置義務と併せて、産業と家庭の両部門で脱炭素化を加速させるとしています。5年ごとに削減期間を設けていて、25~29年度はオフィスビルなどは50%、工場などは48%の削減を義務付けました。これはそれぞれ現行期間(20~24年度)と比べて2倍近くの引き上げで、今回は過去最大の削減率となりました。

 

このように、社会全体で脱炭素の取り組みが進んでいます。人類の大きな脅威となっている地球温暖化、その元凶はCO2に代表される温室効果ガスの増加とされています。世界各地で異常気象が起こり、問題になっています。

産業革命が起こるまで、地球上のCO2は海に溶け込んだり植物プランクトンの光合成などの自然現象によって吸収され、バランスが保たれてきました。しかし、人間が石油や石炭などの化石燃料を大量に燃やしたことで地球のCO2は急激に増加し、自然の仕組みだけでは吸収しきれず大気中に残ってしまったのです。それが気温上昇に繋がったとされているのです。

 

〇国際社会の動き

 1995年、地球温暖化防止について第1回目の国際会議がドイツのベルリンで開催されました。国連気候変動枠組み条約締約国会議、COPの始まりです。以後毎年行われ、COP3では各国のCO2削減目標を明確にした京都議定書が採択されました。

また、CO2の排出量取引を認める京都メカニズムが導入され、カーボンオフセットが注目されました。カーボンオフセットとは、企業が経済活動を行う上で発生させてしまうCO2について、その量に見合ったCO2削減活動に投資など行うことで「埋め合わせ」する仕組みです。例えば発展途上国のCO2削減に寄与すれば、仕組み上はその企業の出したCO2もその分オフセット、即ち相殺するという理論です。大企業はその取組をCSR活動の一環としていました。

 

〇グリーン・ポケット独自の研究

 カーボンオフセットで相殺するだけでは地球にとってはプラスマイナスゼロであり、本来の目的はCO2を減らすことです。減らすことができる力があるのは植物だけ、中でも1日の大半を過ごす室内の植物が果たす役割は大きいのです。

 

しかし国連が認めるCO2削減は森林による吸収に限られています。室内植物のCO2吸収について排出権取引はありません。森林のように取引実績がなく、国際基準となるデータがないからです。しかし同じ植物であり、量は少ないですが吸収していることは間違いありません。そこで自分たちで研究し、測定を始めたのです。

 

測定は京都芸術造形大学(現在は京都芸術に改称)の銅金裕司教授の協力を得て行いました。銅金先生は芸術分野ですが、海洋学や植物生理学も修めた多才な方で、植物のCO2吸収能力に注目した研究を発表されていました。連絡をとり、意見交換をして互いの知見を確認することができました。そして「鉢植えの観葉植物のCO2吸収量を測定する実験」を行うことで合意に至ったのです。

 

実験は当社の大会議室、測定装置は銅金教授が考案したバルーンを使用して行いました。実験期間は準備も含め、約1年間です。

 

【測定方法】

観葉植物をバルーンに入れ、空気を一定方向に流し、入口と出口の空気に含まれるCO2濃度を計測。入口と出口の濃度の差を、植物のCO2吸収量として算出する。

 

【測定した観葉植物】

ベンジャミン・アレカヤシ・シナモン・マングーカズラ・パキラ・ポトスなど、通常のレンタルサービスで使用している20種類。

 

計測にあたり一定の条件を設定。

【天気】晴れ。【温度】15~25度。【照度】3000~10000ルックス。【場所】窓際から1・5~2・0メートル(直射日光が当たらない位置)。

 

過去には植物の葉1枚1枚のCO2吸収量を測定する実験はありましたが、植物全体の効果を検証することはなされていませんでした。

つまりこれは、実際の鉢植え植物のCO2吸収量を測定した、日本で初めての実験といえます。

 

〇Lサイズ10鉢で杉の木1本のCO2吸収量

結果、鉢植えのLサイズ(高さ150㎝から180㎝)の観葉植物が、年間平均1,5㎏のCO2を吸収することがわかりました。

これは雨の日も入れた観測結果です。もし1年中晴れたとしたら、炭酸同化作用は当然晴れの日のほうが盛んに行われ、最大で1本平均年間約2㎏のCO2を吸収する計算になります。

 

この量を森林の樹木と比較してみると、杉の木1本の吸収量は年間約13キロですので、目安としてLサイズ10鉢を置くと、杉の木1本と同じ吸収効果が見込めることがわかりました。

 

この実験結果は、2050年のカーボンニュートラルにむけて今また注目されているようで問い合わせを受けるようになりました。CO2は環境の問題から健康の問題までひろがり、グリーン・ポケット事業の社会的意義は益々高くなっていきそうです。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 


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